東京高等裁判所 昭和55年(ネ)1388号 判決 1981年1月19日
控訴人
南足柄市長
安藤正夫
控訴人
南足柄市
右代表者市長
安藤正夫
控訴人
安藤正夫
右三名訴訟代理人
大澤孝征
被控訴人
瀬戸軍治
外一六名
右一七名訴訟代理人
渋田幹雄
右高華春を除く一六名訴訟代理人
赤沼康弘
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
一 申立て
控訴代理人は、「原判決を取り消す。本件について昭和五四年七月二七日なした裁判上の和解が無効であることを確認する。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。
二 主張
当事者双方の主張は、左のとおり訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。<編注・本判決末尾に、参考として訂正後の原判決事実摘示を掲載した>
理由
一当裁判所も本件訴訟は和解によつて終了したと判断する。その理由は左に訂正するほか、原判決理由説示一ないし五のとおりであるから、ここにこれを引用する。<編注・以下は訂正後の原判決理由説示である>
<中略>
一、控訴人らの主張第一項、第三項の各事実、及び第七項のうち、被控訴人らが控訴人ら主張の如く埋立改良工事を計画している事実は、何れも当事者間に争いがない。
二、よつて案ずるに、先ず、控訴人南足柄市の市長である控訴人安藤正夫が、南足柄市長及び個人として当事者となる訴訟については、地方自治法第九六条第一項第一一号に基く南足柄市議会の議決を要しないと解すべきであるから、控訴人らの主張のうち、右議会の議決が必要であることを前提とし、本件裁判上の和解中控訴人南足柄市長及び控訴人安藤正夫に関する条項が無効であるとする部分は失当と言うべきである。<中略>記録中の控訴人南足柄市長安藤正夫作成の弁護士石川勲藏あて訴訟委任状及び控訴人安藤正夫作成の同弁護士あて訴訟委任状とによると、右各控訴人は同弁護士に本件について和解をする権限を与えていることが明らかであるから、この点に関する右控訴人らの主張は失当というべきである。
三、次に控訴人南足柄市に関する和解の効力について検討するに、本件の裁判上の和解のうち、同控訴人に関する部分は、第六項の、被控訴人らが同控訴人に対する第一四五号事件を取下げて同控訴人が之に同意すること、第七項の、「前示各事件について円満に解決したので、今後南足柄市(中略)は大栄興業株式会社及び井川繁由外一四名(昭和五三年(ワ)第一四五号事件原告ら)の業務(別紙物件目録記載の土地に対する埋立改良工事)に関し、適正な行政事務をとること、」及び第九項の、訴訟費用は各自の負担とする、との三点である。
ところで、裁判上の和解は、和解条項の文言に忠実に、然もその文言が表現する客観的な意味内容に従つて厳格に解釈されるべきである。和解成立に至る動機、交渉の過程に於ける関係者の発言、或いは和解成立後の当事者の応酬等は、それが和解条項として調書に記載されたものでない限り、解釈の基準たり得ないものと言わねばならない。従つて、前示第六項の訴の取下げ及び之に対する同意は、文言通りであつてそれ以上のものではなく、寧ろ客観的には、控訴人南足柄市の勝訴を意味するものと解されるものである。また、前示第九項の訴訟費用の各自負担は、和解成立の場合当然に定められるべき条項であり、民事訴訟法九七条所定のとおりであつて、格別同控訴人に不利益をもたらすものではない。
そこで、控訴人らが最も問題とする第七項について検討するに、その文言を率直に解釈すると、同項は、被控訴人らと控訴人南足柄市との間の従前の紛争が円満に解決したので、今後控訴人南足柄市は、被控訴人らの埋立改良工事の業務に関し、適正な行政事務をとる、との趣旨に過ぎないと考えられるところであつて、勿論、控訴人南足柄市の従前の措置が適正を欠いていたということを含むものではないし、また、同控訴人に今後被控訴人らの要求をすべて認容すべき旨を義務づけるものでなく、まして、同控訴人の行政上の権限につき、抽象的にでも、或いは具体的にでも些かも制約を加えるものでないことが明白であると解するのが相当である。即ち、地方自治体である控訴人南足柄市が、法令に則つて適正な行政事務を行うことは当然のことであるから、同項は、この当然のことを確認したまでであつて、強いてその効力を詮索するならば、それは、今後同控訴人が適正な行政事務を行うことにより被控訴人らとの間に紛争の再発を防止すべく努力する旨の努力規定、若しくは道義的合意に過ぎないと解すべきものである。
而して、地方自治法第九六条第一項第一一号所定の事項につき議会の議決を欠くときは、その行為は原則として無効とされる。然し乍ら、同条の立法趣旨は、訴訟が地方公共団体の権利義務に重大な影響を及ぼすおそれがあるので、議会の議決を経てその事件について当該団体の意見、方針を決定すべきものとしたことにあると解されるところ、本件の裁判上の和解は、前説示の通り、和解条項第六項は、控訴人南足柄市に対する訴の取下に同意するものであり、また、同第七項は、控訴人南足柄市に新たな負債を課したり、或いは特定の義務を負担させたり、または市民に何らかの負担を負わせたりするものではなく、当然のことを確認したに過ぎないものであるから、このような場合には、例外的に議会の議決を要しないと解するのが相当である。従つて、之に反する控訴人らの主張は採用することが出来ない。右に説明したとおり、控訴人南足柄市は議会の議決を要しないで本件和解をする権限を有するのであるから、同控訴人が弁護士石川勲藏に和解の権限を与えた授権行為は少くともその限度で有効というべく、この点についての控訴人らの主張は採用しない。<中略>
四控訴人らは、次いで、本件の裁判上の和解手続に重大な瑕疵が存するので之を取消す旨主張する。然し、取消事由となるべき手続上の重大な瑕疵については具体的な事実の主張がない。仮に議会の議決を欠いていることを意味するものであるとしても、例外的にそれを要しないと解すべきこと前説示の通りであるから、控訴人らの右主張は採用し難いものである。
五控訴人らは、更に、控訴人南足柄市の和解部分と控訴人安藤正夫の和解部分とは一体となるべきもので不可分の関係にあるから、之らを分離して夫々につき和解の効力を審理することは許されない旨主張する。然し、本件記録上明らかな通り、本件の三事件は本件和解前夫々分離して審理されていたもので、必要的に一括しなければ裁判上の和解を成立させることが出来ない性質のものではない。従つて、右主張も採用することが出来ない。<中略>
六よつて本件和解は有効であり、これにより本訴は終了したというべきであるから、これと同旨の原判決を相当として、本件控訴を棄却し、民事訴訟法九五条、八九条、九三条を適用して主文のとおり判決する。
(鰍澤健三 沖野威 佐藤邦夫)
<参考=本判決による訂正後の原判決の事実摘示=編注>
〔事実〕
昭和五二年(ワ)第四〇三号事件被告、昭和五三年(ワ)第一四五号事件被告、昭和五四年(ワ)第七一号事件原告(以下、単に被告と称する。)ら訴訟代理人は、右各事件に関する裁判上の和解成立後続行期日の指定を求め、その事由及び昭和五二年(ワ)第四〇三号事件原告ら、昭和五三年(ワ)第一四五号事件原告ら、昭和五四年(ワ)第七一号事件被告(以下、単に原告らと称する。)の主張に対する反論として、
一、右各事件につき、昭和五四年七月二七日別紙の通り裁判上の和解が成立した。
二、然し乍ら、同裁判上の和解は、次の事由により無効のものであるから、口頭弁論の続行期日の指定、及び右各事件の本案に対する裁判を求める。即ち、
三、本件の裁判上の和解については、予め地方自治法第九六条第一項第一一号に定める南足柄市議会の承認を得ていなかつたものである。
四、和解成立後に於ても、南足柄市議会の追認を得られる見込みは全く存在しない。尤も、和解条項の第七項を除くその余の各条項については、南足柄市議会の追認が得られる見込みである。
<中略>
五、控訴人南足柄市は、その代理人として本件和解締結の意思表示をした弁護士石川勲藏に対し、包括的に和解する権限も、個別的に本件和解条項のような和解をする権限も与えていなかつた。すなわち、同控訴人の市長安藤正夫は同市の市議会から本件について右のいずれの意味においても和解する権限を与えられていなかつたから、右弁護士に対しそのような権限を与えられなかつたのである。
控訴人南足柄市長としても、控訴人安藤正夫としても同人は右弁護士に対し右いずれの意味においても和解する権限を与えていない。
六、仮に、本件の裁判上の和解が、南足柄市議会の承認を得ていないことにより無効でないとしても、本件の裁判上の和解はその手続上に重大な瑕疵が存在して取消事由となるので、被告南足柄市は本件和解行為を取り消す旨意思表示をする。
七、ところで、原告らにより産業廃棄物埋立事業が計画されて以来、南足柄市議会に於ては、昭和五二年九月定例市議会に於て市民一万余名の署名をもつて提出された反対請願を全員一致で採択し、更に改選後の現議員により、昭和五四年五月二二日臨時市議会に於て議員半数により構成される特別委員会を設置し、議会議員全員一致により神奈川県議会に反対陳情書を提出し、目下神奈川県議会に於て審議中である。
また、同年六月一五日の定例市議会に於ては、地方自治法第九九条第二項の規定による反対意見書を全員賛成で議決し、神奈川県知事等関係機関に提出している。而して、南足柄市議会が提出した陳情書、意見書の要旨は、何れも土地改良事業に名をかりて、県外を含めた企業より排出される産業廃棄物の埋立処分地に対して、これより発生する県営水道に対する水質汚染、水田灌漑用水に対する汚染、近隣農地に対する日照、通風等の悪影響、更に産業廃棄物の搬入に対する児童生徒、農業従事者に対する交通公害等々の地域環境の悪化に対して、南足柄市民三万九千余名の生活環境を保全するためのものである。従つて、南足柄市議会は全員一致し、市民生活に重大な支障のある原告らの前示産業廃棄物埋立事業について、市民挙げての反対の意思を受け、その阻止のために現在も活動中である。
かかる時に本件の裁判上の和解が成立したことにより、原告側は、既に和解により産業廃棄物埋立による土地改良事業の一般行政事務的措置に対する南足柄市側の理解は得られたとして、土地所有者、近隣農業経営者、県関係機関等に報告し、事業の促進を図つており、市民の間に大きな混乱を生じ、市議会の活動に対して市民の不信が生じている状況である。
このような事態のなかで、地方自治法第九六条第一項第一一号に定める議会の承認を提案しても、到底議決は得られない状況にある。
八、尚、本件和解の条項中、第一項の、謝罪広告を広報「南足柄」に掲載することについては、被告ら提出の和解案と大幅に異なり、議会の追認を受けることは困難である。次に、第七項の、「適正な行政事務を行うこと、」については、被告南足柄市としては、従来より適正な事務を行つているのに拘らず従前の事務が適正を欠いていたと解されるおそれがあると共に、本件和解と何ら関係のない行政上の問題であると思料される。更に、同第七項中の、「南足柄市長安藤正夫は(中略)神奈川県知事及び県議会議長に提出すること、」については、神奈川県と被告南足柄市とは行政上密接不可分の関係にあり、必要事項は相互に連絡を保つており、文案中に県への提出を明示されることは、県と市との信頼関係上好ましくなく、且つ、本件和解そのものは県に直接関係なきものである。
九、前各項の事由により、続行期日の指定及び本案に対する裁判を求める次第である。
一〇、原告らの主張のうち、被告らの右主張に反する部分をすべて争う。
本件記録上明らかな通り、昭和五二年(ワ)第四〇三号事件と昭和五三年(ワ)第一四五号事件は、何れも請求の基礎を同一とする損害賠償請求事件であり、且つ、原告らは国家賠償法第一条に基く責任を追及するもので、右二件は実質的に同一事件である。また、昭和五四年(ワ)第七一号事件は、右二件の紛争に関連し、被告南足柄市長安藤正夫が著しく名誉を侵害されたとして原告高華春に謝罪広告を求めた事件である。従つて、本件の三事件は、相互に関連した事件であるから、裁判上の和解に於ては、同時に成立し、且つ同一の調書上に一体として記載されるのでなければ、その目的を達することが出来ないものである。原告らが主張するように、被告南足柄市長安藤正夫が合意した部分を、被告南足柄市として合意した部分から切り離して有効であると解釈すべきではなく、被告南足柄市との和解が無効または取消される場合には、当然被告南足柄市長安藤正夫との和解も無効または取消されるべきである。
次に、原告らは、和解条項第七項の和解部分は、被告南足柄市に新たな負債を約束したり、特定の義務を負担したものではなく、市民には何らの負担もないから市議会の議決は必要でない旨主張しているが、右主張は、地方自治法第九六条第一項第一一号の明文の規定に反するので失当である。
と陳述した。
原告ら(第四〇三号事件原告ら、第一四五号事件原告ら、第七一号事件被告)訴訟代理人は、主文第一項と同旨の判決を求め、被告等の主張に対する認否及び原告らの主張として、
一、被告らの主張第一項及び第三項を認める。同第二項、第四項ないし第六項、第八項を争う。同第七項は、原告らがその主張の埋立改良工事を計画していることを認め、その余を争う。
二、被告安藤正夫及び被告南足柄市は、昭和五四年七月二七日付成立の本件裁判上の和解について非難を加え、和解条項第一項及び第七項の削除を求めているようであるが、被告らの申立は到底認められるべきものではない。
三、記録上明らかなように、昭和五二年(ワ)第四〇三号事件は、原告高華春らが安藤正夫個人を被告とし、被告安藤が原告らの土地改良事業を職権を濫用して妨害したことについて損害賠償を求めたものである。次に、昭和五三年(ワ)第一四五号事件は、右第四〇三号事件につき南足柄市を被告としたものである。また、昭和五四年(ワ)第七一号事件は、安藤正夫が市長として原告となり、高華春を被告にして謝罪広告を求めた事案である。従つて、第四〇三号事件及び第七一号事件は、自治体である被告南足柄市とは関係がない。よつて、議会の議決も不必要であるし、和解の効力について一点の疑問もはさむ余地はない(最高裁昭和三〇年一一月二二日判決参照)。以上の次第であるから、和解条項中第一項(第七一号事件)及び第七項中被告南足柄市長安藤正夫と原告高華春らとの間の和解部分については、その効力について異議を述べることが許されないことは明白である。また、和解条項第二乃至第六項は、何れも被告南足柄市長安藤正夫と原告高華春らとの間の仮処分、同異議、告訴等の取下げに関するものであるから、被告南足柄市の議会の議決を要しないことが明白であり、何の疑念をも持つ必要がない。
四、次に、和解条項第七項中、自治体である被告南足柄市と原告高華春らとの間に成立した和解は、「南足柄市は大栄興業株式会社及び井川繁由外一四名の業務(埋立改良工事)に関し適正な行政事務をとること」であるから、右以外の、被告南足柄市長安藤正夫が合意した部分である本件土地改良事業につき適正な行政事務をとること、及び同被告が神奈川県知事及び神奈川県議会議長に対し本件和解調書を提出するとの点は、自治体である被告南足柄市は当事者ではない。従つて、この部分につき、地方自治法第九六条第一項第一一号の議決の要否を検討する迄もなく、和解は有効であり、被告安藤の申立は何の根拠もない。
五、そこで、和解条項第七項のうち、被告南足柄市と原告高華春らとの間の和解部分について検討してみるに、同条項は、その文言に明らかな通り、「円満解決」の宣言を受けて「適正な行政事務をとる」ことを確認したものである。これによつて新たな負債を約束したとか、特定の義務を負担したものではなく、市民には何らの負担もない。当然のことを確認したものである。而して、この文言は、原被告らが互いに案文を示し、裁判官が調整を行つて成文となつたものであり、被告南足柄市の代理人である石川弁護士も之を承認して和解成立に至つたのである。このように、市民に何らの負担もマイナスももたらさない上、被告南足柄市の行政事務の上で特定の義務を課すものでもない(例えば、市有財産の処分、物の引渡し、金銭の支払等の給付や行政処分の発動等)のであるから、市議会の議決を要しないものと言うべきである。
六、仮に、形式的には議決事項に当るとしても、議決は爾後に於て得ることも出来る。そして、議決を得るべく努力をしなければならないのは市長たる被告安藤正夫であり、議決を得るかどうかは市長と市議会間の政治的責任の問題であつて、法律上本件和解が現に有効に成立し、存在していることは明白である。また、和解成立後の当事者双方の文書の応酬は、本件和解の効力に何らの影響もない。之を要するに、被告らは個人と自治体を混同しているものである。議決の対象となるのは、あくまでも自治体としての被告南足柄市の和解部分のみである。
七、以上の通り、被告らの申立は全くその理由がないから、直ちに和解が有効であるとの判決を求める。
と陳述した。
〔和解条項〕
一、被告高華春は原告南足柄市長安藤正夫に対し、公報「南足柄」に一回別紙目録記載の文面の謝罪広告を原告において掲載することを認める。
二、債権者南足柄市長安藤正夫は、昭和五四年二月二二日横浜地方裁判所小田原支部になした債務者高華春に対する仮処分決定申請(同庁昭和五四年(ヨ)第三二号看板撤去仮処分申請事件)を本日取下げ、債務者はこれに同意すること。
三、債務者高華春は債権者南足柄市長安藤正夫に対し、横浜地方裁判所小田原支部になした右仮処分決定に対する異議申立事件(同庁昭和五四年(モ)第九七号)を本日限り取下げ、債権者安藤正夫はこれに同意すること。
四、前第二項事件につき債権者南足柄市長安藤正夫が横浜地方法務局小田原支局に担保として供託した金参拾万円の担保取消決定申請に債務者高華春は同意し、同決定に対する即時抗告権を放棄し、供託金の還付に協力すること。
五、債権者南足柄市長安藤正夫が債務者高華春に対し、横浜地方検察庁に昭和五三年一二月二三日なした名誉毀損告訴事件は、本日限り告訴を取下げること。
六、原告瀬戸軍治、同杉本一郎、同井川福三、同井川繁由、同佐藤照雄、同井川元エ門、同横山政雄、同諸星一郎、同渡辺若雄、同横山定雄、同大栄興業株式会社代表者代表取締役高華春ならびに原告瀬戸軍治、同杉本一郎、同井川福三、同井川繁由、同佐藤照雄、同井川元エ門、同横山政雄、同諸星一郎、同渡辺若雄、同横山定雄、同渡辺カヨ、同渡辺新一、同井川喜代子、同瀬戸松子、同青山一雄、同大栄興業株式会社代表者代表取締役高華春が被告安藤正夫ならびに被告南足柄市代表者南足柄市長安藤正夫に対し、横浜地方裁判所小田原支部になした損害賠償請求事件(同庁昭和五二年(ワ)第四〇三号ならびに昭和五三年(ワ)第一四五号)は本日限り取下げ、右被告両名は右取下げに同意すること。
七、前示各事件について円満に解決したので、今後南足柄市及び南足柄市長安藤正夫は大栄興業株式会社及び井川繁由外一四名(昭和五三年(ワ)第一四五号事件原告ら)の業務(別紙物件目録記載の土地に対する埋立改良工事)に関し、適正な行政事務をとること。
尚、南足柄市長安藤正夫は、速やかに神奈川県知事及び神奈川県議会議長に対し、本件和解調書を提出すること。
八、原告南足柄市長安藤正夫が被告高華春に対しなした横浜地方裁判所小田原支部昭和五四年(ワ)第七一号謝罪広告請求事件につき、南足柄市長安藤正夫は、その余の請求を放棄する。
九、訴訟費用は各自の負担とする。
〔目録〕
謝罪文
私は、南足柄市怒田字八幡平三四七及び同市〓下字大西六五三―一番地先に設置せる立看板にて、事実に反する表示をなし南足柄市長安藤正夫氏の名誉を毀損したことについて、深く反省し謝罪いたします。
昭和五四年七月二七日
東京都青梅市友田町一丁目八七五番地 大栄興業株式会社内
高華春
南足柄市長
安藤正夫 殿